ご挨拶

会長　永田　真
埼玉医科大学呼吸器内科・アレルギーセンター

　皆様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。この度、伝統ある第53回の日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会の会長を担当させていただきます。2023年5 月27日（土曜日）・28日（日曜日）の2日間にわたり、東京秋葉原コンベンションホールにおいて開催予定であります。
　本学会は半世紀を超える歴史を有する名門の学会と存じております。当初、職業アレルギー研究会として発足したのちに日本職業アレルギー学会として学会化され、その後に、アレルゲンなど広く環境要因に起因する病態も基礎的・臨床的に研究する学会として、日本職業・環境アレルギー学会と名称が変更されてきた経緯がある由です。
　アレルギー疾患では対症薬物療法の普及によってコントロールが飛躍的に改善してまいりました。一方で、特に日本では感作アレルゲンやその他の環境要因など、病態の本質に関わる諸因子に対する対策については海外と比べて後手に回った感が否めないと思われます。環境要因につきましてはこの10数年にわたる激動的といってもよい社会や地球環境の変化が、アレルギー疾患を取り巻く状況を大きく揺り動かし続けているといってよいと存じます。また関連して、例えば成人における食物アレルギーの増加であるなど、日本のアレルギー診療実態がまだまだ追いついていない領域の存在も大きな“環境的”問題と思われます。
　私どもの埼玉医科大学は2005年に、日本で最初の大学病院のアレルギーセンターが設置された医科大学です。病因となる環境アレルゲンのプリックテスト等による同定と回避指導、またアレルゲン免疫療法の普及啓発などに力を注いでまいりました。今回の学会では埼玉医科大学アレルギーセンターとして、テーマを
　「ヒトを取り巻く環境変化とアレルギー疾患」
　とさせていただきました。このメインテーマに基づき、各領域の臨床、研究の進歩についての我が国のトップエキスパートによる特別プログラムをご用意いたしております。ハイブリッド開催を予定しております。埼玉医科大学アレルギーセンターとして皆様をお迎えし、アレルギー領域に関する活発で有意義な学問の場となることを期待しております。ぜひとも多くの方にご参加ご聴講いただければ幸いです。